EQにおいて失敗は聞けばある程度わかりますが、正解って分かりにくいですよね?特に初心者にとってEQはさっぱり理解できないものだと思います。そんなEQについてこの記事ではある程度の指針を示していこうと思います。
ですが最終判断はあなたの耳で行うことを忘れないでください!
目次
ボーカルの周波数を上げる(ブースト)べき時
考え方は応用できますが、数値はあくまで参考までに!
明瞭さを強調したい
- 周波数帯域: 2kHz~4kHz
- 具体的な例: ボーカルが他の楽器に埋もれて聞き取りにくい場合、2.5kHzを+3dBブーストすることで、ボーカルがミックスの中で前に出て、明瞭に聞こえるようになります。この帯域はボーカルの言葉の明瞭さやディクションを際立たせるのに非常に効果的です!
空気感を追加したい
- 周波数帯域: 10kHz以上
- 具体的な例: ボーカルに輝きや空気感を追加したい場合、12kHzを+4dB程度ブーストします。これにより、ボーカルがよりオープンでシャープなサウンドになり、ミックス全体に広がりを与えることができます。
Shelfを使って10kHz以上をまとめて持ち上げるとより効果的です!
太さを追加したい
- 周波数帯域: 100Hz~250Hz
- 具体的な例: ボーカルが薄く感じる場合、150Hzを+2dB程度ブーストすることで、ボーカルに厚みを加えることができます。
あげすぎると音がこもって聞こえる場合があります!バランスが重要です!
ボーカルの周波数を下げる(カット)べき時
こもり音を取り除きたい
- 周波数帯域: 200Hz~400Hz
- 具体的な例: ボーカルがこもって聞こえる場合、300~500Hzを-1.5dB程度カットすることで、ボーカルがよりクリアに響くようになります。この帯域はしばしば「こもり」の原因となるため、カットすることで音がすっきりとします。
シビランス(「サ行」の強調)を抑えたい
- 周波数帯域: 6kHz~8kHz
- 具体的な例: ボーカルの「サ行」や「シ音」が耳障りな場合、7kHzを狭いQ幅で-4dBカットすることで、シビランスを抑えることができます。これにより、ボーカルがより自然に聞こえるようになり、リスナーにとって心地よいサウンドになります。
ディエッサーを使えばより効率的に作業を行えます!
不要な低音を削除したい
- 周波数帯域: 125Hz以下
- 具体的な例: ボーカルに不要な低音が含まれている場合、125Hz以下をローカットフィルターでカットします。これにより、低音の混濁が減少し、ミックス全体がクリアになります。
特にポップスやロックでは重要な作業の1つです!
ボーカルのQ幅(帯域幅)の基本的な決め方
狭いQ幅(High Q)
- 目的: 特定の問題をピンポイントで修正したい時に使用します。
- 具体的な例: シビランスが強すぎる場合、7kHzを狭いQ幅で-4dBカットします。狭いQ幅を使うことで、シビランスを効果的に抑え、他の周波数帯域には影響を与えずに調整できます。
他にはピークのカットの作業時にも狭いQ幅を使います!
広いQ幅(Low Q)
- 目的: ボーカル全体の特性を滑らかに調整したい時に使用します。
- 具体的な例: ボーカル全体に温かみを加えたい場合、200Hz~400Hzの帯域を広いQ幅で少しだけブーストします。これにより、ボーカルがより厚みのあるサウンドになり、ミックス全体で際立たせることができます。
積極的な音作りには広いQ幅を使うことが多いです!
DTM備忘録


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どのように聞こえたら、どのように対処するか
ここからは実際の作業でどのように聞こえたらどのように対処するのかを紹介していきます!
先ほども言いましたが、具体的な数値は目安として表記しています。
- ボーカルが「こもって」聞こえる
-
300Hz付近を中位のQ幅で-3dBカットすることでボーカルのこもりが軽減され、クリアで抜けの良いサウンドになります。
- ボーカルが薄く、力強さに欠ける
-
500Hz付近を広いQ幅で+2dBブーストすることでボーカルに暖かさと厚みが加わります。
- ボーカルが他の楽器に埋もれて聞こえにくい
-
2kHz付近を中位のQ幅で+3dBブーストすることで、言葉が明瞭に聞こえるようになります。
まとめ
ボーカルのEQ操作は、どのように聞こえるかを基にして適切な調整を行うことで、ミックス全体のクオリティを大きく向上させることができます。しかし、適切なQ幅やブースト、カットの判断をすることは非常に難しいです。
結局は数をこなして沢山練習するしかないのかもしれませんが、作業を行う際の1つの指針として役立ててください!