ボーカルミックスで「もっと温かみとパンチを加えたい」「ダイナミクスをしっかりとコントロールしたい」と感じたことはありませんか?そんな時におすすめなのが、WavesのCLA-2AとCLA-76を重ねて使うテクニックです。この2つのコンプレッサーを組み合わせることで、ボーカルに独特のキャラクターと存在感を与え、自然で迫力のあるサウンドに仕上げることができます。今回は、CLA-2AとCLA-76を重ねがけする方法を詳しく解説します。
CLA-2Aとは?
CLA-2Aは、「LA-2A」光学式コンプレッサーをモデルにしたプラグインです。以前紹介しましたが、こちらはとてもシンプルで自然なコンプレッションが得られるため、ボーカルやベースに適しています。CLA-2Aは特に、ボーカルに温かみを加え、柔らかく自然なサウンドに仕上げるのに優れています。

CLA-76とは?
CLA-76は、「1176」FETコンプレッサーをモデルにしたプラグインで、速いアタックとリリースが特徴です。CLA-76は、ボーカルにパンチを加え、力強さとアタック感与えるのに効果的です。特に、瞬間的な音のピークを抑えることで、ダイナミクスをしっかりとコントロールすることができます。

重ねがけの効果
CLA-2AとCLA-76を重ねがけすることで、各コンプレッサーの特性を活かしながら、ボーカルに温かみとパンチを同時に加えることができます。まずCLA-2Aでボーカルを滑らかにし、その後にCLA-76で大きなダイナミクスをコントロールすることで、ボーカルがミックスの中でより際立ちます。
順番を入れ替えて使用することも可能です!順番を入れ替えると少し違った仕上がりになります!
基本的な設定方法
ここには例として詳細な数値を出していますが、この設定はあくまで私が基本的にこんな感じだろうと予測して書いた数値です。狙いや曲、流行によって設定は変わるものなのであくまで参考程度に留めておいてください。
1. CLA-2Aを先に使う
- Peak Reduction: ボーカルに温かみと滑らかさを加えるため、-3dBから-5dB程度の圧縮を設定します。
- Gain: 必要に応じて、全体の音量を補正し、ボーカルがしっかりとミックスに馴染むように調整します。
- Limiter/Compressorスイッチ: 通常はコンプレッサーモードで使用し、自然な圧縮を得ます。
2. CLA-76を後に使う
- Attack: CLA-2Aで滑らかに処理されたボーカルの立ち上がりをしっかりと捉えるため、アタックは速めに設定します(3~5ms)。
- Release: ボーカルに自然な余韻を残すために、中程度から速めに設定します(50~100ms)。
- Ratio: 4:1に設定し、タイトにダイナミクスをコントロールします。
- Threshold: CLA-2Aで温かく処理されたボーカルをさらにタイトに抑えるために調整します。
実践的なミックステクニック
ボーカルをより前に出す方法
CLA-2Aでボーカルの温かみを引き出し、滑らかに整えた後、CLA-76でリリースを少しずつ速くしていきます。こうすることでボーカルが他のトラックに埋もれず、しっかりと前に出てきます。
逆にバラードなどであまり強いコンプレッションを必要としない場合は、リダクションを浅くすると効果的です。
ボーカルに温かみを同時に加える方法
CLA-2A、CLA-76のゲインを少し上げると温かみがあります。
注意点
コンプのかけすぎのサイン
よく飽和してしまっていると言いますが、必要なダイナミクスが得られない場合は強くコンプレッサーをかけすぎているサインです。それと、よく言われるのはブレスが歌と同等の大きさになっている場合はコンプが強すぎるサインの1つです。
強ければいいものではない
ロックやメタルなどの激しい曲では強いコンプが好まれる傾向があると思いますが、バラードやポップなどは比較的自然なコンプが好まれる場合もあります。その曲にあった最適なコンプを耳で判断するようにしてください!
いきなりは不可能なのでたくさん訓練してみてください!
Q&A
- CLA-2AとCLA-76の順番は逆にしてもいいですか?
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もちろん逆にしても構いません。むしろ色々試してみて最適な設定を探してみてください!
ただし一般的にはCLA-2A→CLA-76の順番で使用されることが多いと思います。 - どんなジャンルに最適ですか?
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どのジャンルにも使用できる組み合わせだと思います。
しかし、それぞれのコンプの設定は曲によって変えていく必要があると思います。 - WAVESのプラグインじゃなくてもできる?
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もちろん可能です。それぞれのメーカーの特性があるので数値は変わるかもしれませんが、この組み合わせはどのメーカーでも使用できます!
まとめ
CLA-2AとCLA-76の重ねがけは、とっても便利で使いこなせれば強力な武器になります。
それぞれのプラグインが互いに作用するという考えは他のプラグインにおいても同様の考え方ができます。
例えば、コンプの前にEQをかけたらそのEQがコンプのかかり具合に影響を与えます。
あなたのミックスにこのテクニックを取り入れて、ボーカルをより魅力的に仕上げてみてください!