ボーカルコンプレッサー重ねがけの効果!メリット・デメリットと適切な使い方

コンプレッサーの重ねがけ(2つ以上のコンプレッサーを連続して使用する手法)は、ボーカルや楽器のダイナミクスを自然に整えつつ、音の質感を向上させるための高度なミックス技術です。1台のコンプレッサーだけでは得られないメリットがあり、特にプロの現場ではよく使われています。

目次

コンプ重ねがけの効果

自然なダイナミクスコントロール

1つのコンプレッサーで大きなゲインリダクションをかけると、不自然な圧縮感やポンピングが出ることがあります。重ねがけをすることで、1台あたりの負荷を軽減し、より自然にダイナミクスを整えることができます。

ポンピングとは?ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2段がけの基礎の基礎

• 1台目: 急激なピークを軽く抑える。

• 2台目: 全体のバランスを均一化。

音の質感やキャラクターを追加

異なる特性を持つコンプレッサーを重ねることで、それぞれのキャラクターを活かした音作りが可能です。

• 例: CLA-76でアタック感を強調し、次にCLA-2Aで滑らかな音質に整える。

特定の目的に応じた音作り

• パンチ感: アタックを強調したい場合に、FETコンプレッサーを使う。

• 厚みの追加: Optタイプやチューブコンプレッサーで温かみを与える。

• 透明感の維持: 穏やかな設定でVCAコンプレッサーを重ねる。

適切な使い方と設定例

急激なピーク処理 → 全体の整音

1つ目のコンプレッサーでピークを軽く抑え、2つ目で全体の音量バランスを整える方法です。

設定例

• 1台目(FETタイプ: CLA-76など):

• アタック:早め(1〜3ms)

• リリース:速め(20〜50ms)

• レシオ:4:1〜8:1

• ゲインリダクション:3〜6dB

• 2台目(Optタイプ: CLA-2Aなど):

• 自然な設定(自動的に緩やかに動作)

• ゲインリダクション:2〜4dB

キャラクターを足す

特定の音色やキャラクターを追加したい場合、1台目で音を整え、2台目で質感を追加します。

設定例

• 1台目(VCAタイプ: RCompなど):

• アタック:中程度(10〜30ms)

• リリース:曲のテンポに合わせる

• レシオ:2:1〜4:1

• 2台目(チューブタイプ: PuigChildなど):

• 穏やかな圧縮(スムーズな変化)

• アナログの温かみをプラス

複数の役割を分担する

ボーカルのミックスでは、役割別にコンプを重ねがけすることがあります。

設定例

• 1台目(FETタイプ: アタック感の強調)

• アタック:速め(1〜5ms)

• リリース:速め(20〜50ms)

• レシオ:4:1

• 2台目(Optタイプ: 全体を滑らかに整える)

• 自然な動作(自動設定)

• 3台目(マスタリング用: SSL G Bus Compressorなど)

• アタック:遅め(30ms以上)

• リリース:曲のテンポに合わせる

• レシオ:2:1

重ねがけの注意点

過剰な圧縮を避ける

重ねがけをしすぎると、音が潰れて平坦に聞こえる可能性があります。各コンプレッサーのゲインリダクションは控えめに設定し、合計で6〜10dB以内を目安にすると自然に仕上がります。

異なる特性を持つコンプを使う

同じタイプのコンプレッサーを重ねても効果が薄い場合があります。異なる特性(FET、Opt、VCAなど)のコンプレッサーを組み合わせて使用しましょう。

音を聴きながら調整する

メーターの数値だけで判断せず、実際に音を聴いて透明感や存在感が損なわれていないか確認しましょう。

まとめ

コンプレッサー重ねがけのポイント

• ピーク処理 → バランス調整の順で使う。

• 異なるキャラクターのコンプレッサーを組み合わせる。

• ゲインリダクションを少しずつ積み重ねて自然に仕上げる。

コンプの重ねがけは難しい技術ですが、適切に使うことでミックスの完成度が大きく向上します。試行錯誤しながら、自分の楽曲に合った使い方を見つけてみてください!

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